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糖 尿 病


◇糖尿病の種類と共通の病態
 糖尿病とは大別するとインスリンの絶対的不足が原因の1型糖尿病とインスリンの相対的不足が原因の2型糖尿病に分類されます。日本人の糖尿病の95%は生活習慣が誘因の2型糖尿病です。
 糖尿病に共通な病態は、慢性的に血糖値が高い状態が持続し、高血圧や脂質異常などの代謝異常が合併しやすく、心血管や脳血管ばかりでなく糖尿病特有の細小血管障害(網膜症、腎症、神経障害)を引き起こしてくることです。


◇糖尿病は症状がなく進行することが多い!
 2007年の厚労省の国民健康・栄養調査の結果、糖尿病が強く疑われる人が約890万人、可能性が否定できない予備軍まで入れると実に2210万人に上ることがわかりました。しかし、糖尿病が強く疑われる人でも治療中という人は男性で56.9%、女性で54.1%、以前治療を受けたことがあるが、現在受けていない方が男性で5.9%、女性で4.7%でした。とくに40歳台に限ってみるとこのような治療中断は女性では0%ですが、男性で12.5%に上ることがわかりました。このように糖尿病は血糖値が高くても自覚症状がないことが多いため、放置されたり治療が中断されることが多いという特徴があります。そして、しばしば、気がついたら重大な合併症が進行していたということがよくあるのです。すなわち糖尿病はいかに早く診断し、適切な治療を行うか、あるいは発症を予防するかが重要な疾患といえます。
 初期の糖尿病(2型)は、適切な治療と指導により、内服薬やインスリン注射の中止が可能なこともあり、また、早期の腎症などは寛解させることも可能です。残念ながら合併症がすでに進行し、腎不全、心臓合併症、下肢血行障害などを認める方でも、適切な治療を行うことにより、更に病状が進行しないようにすることは可能です。


◇糖尿病になったら
 糖尿病は現在の膵臓の機能、合併症の進行の有無を正確に把握することが大切で
す。インスリン治療は年々進歩し、さらにインクレチン製剤という新しい糖尿病薬の登
場で、糖尿病を治癒させることが可能かもしれないという時代になってきました。しか
し、現実は、進行してしまった糖尿病は治療が困難です。


◇糖尿病にならないために
 現時点では、生活習慣の改善に努めて糖尿病を発症させないこと、親族の方で糖尿病のある方、肥満、メタボリックシンドロ−ム、高血圧、脂質異常など糖尿病のリスクの高い方は、健診でHbA1cが5.2%を越えたら、積極的に糖負荷試験を受け現在の耐糖能の状態を知ることが重要です。
 糖尿病と診断されたら、自覚症状がないからと放置せず、速やかに適切な治療を受け中断しないこと、また定期的な合併症の検査を受けることが大切です。